ソラニン
夏と言ったら、何を思い浮かべるかなあ。
海、花火、蝉の鳴き声、青空にかかる厚い雲、河原、アイス、かき氷・・・・・・。
ここ数年、日本の夏は、暑い、というより、痛い、気がする。
ちんちんに(名古屋弁で熱々という意味)太陽光を吸収したアスファルトから、熱がそのまま跳ね返って肌に刺してくる感じ。参っちゃう。
そんなこんなで、今日は、映画『ソラニン』についてちょっと語ろうかな。
公開されたのが2010年で、私はそのときまだ中学生で、いや、もしかしたら小学生だったかもしれない。あの時は、大人ってこんな感じなのかな位で、たいして気にも留めなかった作品だけど、今就活を終えて、実はこの私が、彼らの年齢に近づいていることに気づく。
ソラニン…ジャガイモの芽の毒のこと。
毒は、何を指すのだろう。
音楽による一般社会への反抗?何者にもなれない自分への苛立ち?
そうじゃない、ジャガイモの芽は、日々の生活だと思う。
変わらない、普遍的な、ありふれた日常。それが毒。
毒は、毒だと気づかない。いつの間にか体内に潜り込み、やがて奥底にある心を蝕んでゆく。
まあいっか、で済む毎日が毒なんだと。そんな気がしてならない。
ソラニンは、主人公の彼が死ぬ。
この頃、人が死ぬ物語が流行ったような記憶がある。
人が死なないと、ソラニンはもっとつまらない。
ていうか、死んだから物語が成り立っている。
だから嫌いだ。人は、死ねば解決するものじゃない。物語だって同じだ。
死んだって物語は解決しない。
ストーリーの中に死が含まれるのは許せるけど、
私は、「死」に焦点を当てた映画は許せない。
好きな映画もまた、やっぱ途中で「死」が含まれるけど、それが重要視されているわけではないから。
ソラニンは、構成が素晴らしいわけでも、結末がまとまっているわけでもないけれど、
長い長いPVを見ているような、そんな気分になる。
そんでもって花火も蝉も海もかき氷もアイスも出てくる「日本の夏」を感じさせる映画だ。